「ライオンの隠れ家」は、のめり込むのに時間がかかりましたが不思議と魅力的な作品でした
2024年10月~12月期
当初は自閉症の弟を持った兄弟の家族ドラマかと思いウンザリしていましたし、そこに訳も分からず理不尽に子供が一人で飛び込んでくるという歪で唐突な設定に少し覚めかけていました…
さらに自分の子供をなんの説明もなしに置いていくという設定にどんな理由があっても許せないと親としては感じてしまいました
それが最低最悪のDVが原因だったと納得するしかないのかもしれませんが、それでも自分の子供の手を離して人に委ねることが最良の策がどうかは難しいところですね…
それは置いておいて、ドラマの中盤にかけてDVが絡んだミステリーとして進み始めてドラマに急に勢いとうねりがつき始めました
さらに自閉症を主としたドラマではないことが分かってきてからは特に目が離せない状況になり、その自閉症の板東龍太さんが演じた小森美路人を通しての人の真の姿を鏡に映していく描写がさすがの設定でした
最終話での着地点からはこれはミステリーではなく、柳楽優弥さんが演じた小森洸人の自分を見つめ直すドラマであり、洸人だけでなく、問題を持って生きている全ての人の成長物語でもあったのかもしれないという感覚にとらわれ、それが創り手の想いだったのかもしれないとも感じました
柳楽優弥さんの静の演技の深みと凄みを痛感させられました
決して言葉や態度で荒ぶることはなくても、セリフや仕草でその激しい感情を伝える演技力に圧倒されました
そして板東龍太さんが自閉症の美路人を違和感なく伝えてくれることでドラマの世界に抵抗なく入っていけました
さらに柚留木を演じた岡山天音さんも良い味をだしながらのドラマの絶妙なスパイスになっていました
そして何と言ってもこのドラマの救いは吉見寅吉を演じたでんでんさんです!
少し殺伐となってしまいそうなドラマの中で重要なオアシスの役目をしていました
見応えのある静かな秀作でした
「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています
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