「放課後カルテ」は、心と身体に滲みる静かな力作でした
2024年10月~12月期
やはりこのドラマの序章として牧野峻を演じた松下洸平さんが秀逸でした
態度と口が悪いけど、憎めない小児科医にして保健室に常勤する学校医を見事に演じていました
この憎まれないの境界線ギリギリで演じる塩梅は本当に絶妙でした
問題を抱える生徒たちにぶっきらぼうでも何故かいつの間にか心の中に取り入って、鋭い観察眼で心を開かせていく様は、森川葵さんが演じた篠谷陽子の生真面目さ真っ直ぐさ、不器用さと相まって静かな、でも高らかな和音を創りだしていました
篠谷陽子の成長物語でもありましたね
医療ドラマであって医療ドラマではなく、人間ドラマであり、家族ドラマであって、医療は単なる作品の要素や切っ掛けの一つに過ぎない扱いが、もう一つ進化した医療を扱ったドラマの新しい作品としての形かもしれません
脚本から医療へのリスペクトも充分に感じられましたし、出演者や作品に対しての想いも感じられる作品でした
その創り手と演じ手、創り手と観手の間の和音と共鳴が、観手にとってはとても心地よかったです
最終話で牧野が卒業に立ち会わなかったので斬新な牧野らしい最終回だと思っていましたが、しっかりと卒業生たちが保健室に集まってくる場面が差し込まれて、みんなちゃんと成長していて、悔しいけどちゃんと感動させられてしまったなあ…
最後の最後まで隙のない、創り手の作品への愛情が感じられるドラマでした
「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています
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