「御上先生」は、ちゃんとしている面白いドラマの全ての要素が入っていました
                                      2025年1月~3月期

 作品として張りぼて看板状態なのではと疑心を持たせるように始まった作品に感じていました
 その危うさを持ったまま第一話を鑑賞しましたが、一話一話が進むにつれてその看板には厚みと彩りが見えてきて、裏に廻ってもしっかりとした足場が存在してさすがの日曜劇場でした!

 様々な教育現場の問題点を、様々な角度や温度で投げかけ続け、様々な方法で学生が自ら解決していきます

 もちろんその大きな一端を担っているのは、主人公の御上孝を演じた松坂桃李さんの無表情でも溢れ出る感情と気合いを演じる力です
 この人なら反発していた生徒たちに信頼を得ることは容易なことだと納得させられます
 さらにちゃんとストーリーが進むにつれてその無表情・無感情の下の大きな心情のうねりが見えてきます

 そして実は良い立ち位置にいたのは是枝文香を演じた吉岡里帆さんです
 担任を卸されて失意にいる文香、教育にちゃんと向き合うあまりに空回りする文香、その空回りが少しずつ噛み合っていく文香を切なく、しっかりと演じていました
 この作品の大切な輪郭であり優しいスパイスでした

 そして御上が、その文香を決して下に見ず、むしろリスペクトを込めて見守る、時には第一線にかり出す御上の感情もこの作品を秀逸な作品に持ち上げる一端を担っていました

 いくらなんでもいち高校生がココまでの闇を暴けるのかという疑問は当然残りますが、それもアリか!と思わせるほどの演技と演出が観手に降りかかってきました

 最終話は今までの学園ものとは一線を画すように感じますが、でも王道の学園ドラマの芯を喰っている着地で、それがむしろこのドラマの輪郭をさらにしっかりとさせたかもしれません

「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています

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むろ さん
プロフィール

「ダンス」と「s**t kingz」と「iri」と「連ドラ」好きの「言葉の力」を信じる踊る博士(Dancing Phd.)のブログ集です

主に「連ドラ鑑賞文」を1クール(3ヶ月)毎に書いていきます
その他にも長文でTwitterに書ききれないことも書いていきます