「海に眠るダイヤモンド」は、腰を据えてドラマを観ることを求められる壮大なドラマでした
2024年10月~12月期
ドラマにはそのドラマのリズム、スピード、ピッチ、bpmがあって、それがそのドラマに合ってさえいれば、ちゃんとしたドラマなんだと思います
確かに個人的に自分が好きなリズムやbpmがあると思いますが、それを無理やり観ているドラマに当て嵌めてそれが遅いとか、乗り切れないとかは批判してはいけないのかもしれません
大切なのはそのドラマにそのドラマのリズムやbpmが合っているかだと思います
この作品は昭和と現代の70年に渡る壮大な設定と二つの時代の人と生活がリンクする状況に観手は覚悟を持って観ないといけないと感じさせました
例えリズムやbpmが遅いと感じても、このドラマはこのテンポでないといけないんだと思います!
初めて軍艦島、端島を知った子供のころは、そこが強制的に閉じ込められて労働を強いられているという印象を持っていましたが、そうではないと知ってからもどこか漠然と知っているだけでした
この作品がそこに住む人々が高水準な生活をしながら活き活きと生きていたと再認識、再確認させてくれました
先ずは鉄平を演じた神木隆之介さんに尽きますね
二役の演じ方もそうですが、端島にいるときの穏やかな中にも芯のある優しさを持った鉄平が、後半に逃亡者となってから過去を背負い覚悟を持った鉄平に変わっていき、表情から話し方まで変えていく様子は秀逸でした
そしてとにかく秀逸だったのは朝子を演じた杉咲花さんです
いろんな状況で「切なさ」を演じ、観手に共感と共有を伝える演じる力に感服です
そして百合子を演じた土屋太鳳さんの演技にも驚きました
ドラマの序盤から中盤で大きく人として変わっていく百合子を、説得力を持って演じ、観手に納得させる力のある俳優さんでした
現代で結局、鉄平と朝子と百合子、池田エライザさんが演じたリナ、そして清水尋也さんが演じた賢将は会えることがなかったのは残念で、現代でこの5人の会話が聞きたかったですが、誰とも会えないという着地もこの作品の芯を通している感じもしました
「海に眠るダイヤモンド」のタイトルはただ単に「石炭」のことではないだろうとは思っていましたが、その想像を超える多くの意味が「ダイヤモンド」に込められている事実が明るみに出る度に、驚きとともに悔しさよりもドラマが深く厚みのある作品になっていく感覚を初めて堪能しました
見応えのある重要な作品でした
「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています
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