「いちばん好きな花」は、秀逸で魅力的な作品でしたが最後の演出が引っ掛かってしまいました
2023年10月~12月期
かなりコアな年齢層を狙った作品なのかもしれませんが、唐突と進んで行くにも関わらず、登場人物の背景をしっかりと描いていることで画面の中から届く以上の情報と想像と感触が伝わってくる、正にジワジワと鑑賞できるドラマでした
潮ゆくえを演じた多部未華子さん、春木椿を演じた松下洸平さん、佐藤紅葉を演じた神尾楓珠さん、深雪夜々を演じた今田美桜さんと主軸となる四人が大袈裟でもなく良い意味で淡々と生きづらい人生を歩んでいる主人公たちを演じていることに引きつけられました
作品の中に散りばめられた静かに心に刺さる言葉たちは痛いけど心地よく響いていきました
この四人が連ドラとしてどう着地していくかを想像しながら最終回を楽しみにしていました
最終話ももの凄く大きなことは起こっていないかのように静かに着地しましたが、実はそれぞれ主人公の四人を始め、登場した人たちにとっては大きなこと、転機があっての着地なんだと想います。
それだけに、最後の最後の演出がどうしても引っ掛かってしまいました…
フィクション、ファンタジー、画面の中の作品としても観手としては共感と一体感、同一感で観ていたので、最後の最後に主題歌を担当した藤井風さんが同じ空間の中に存在する必要はなかったのではないでしょうか?
主題歌としてはドラマと合っていて良作にドラマを仕上げていましたので、あの場面で主題歌の「花」をしっかりとした音量で流すだけで充分に効果的だと思いました
同じ空間に藤井風さんが存在した時点で急に醒めてしまいました…
音声だけで充分に観手は想像できましたし、観手に任せてドラマの終了の感傷に浸らして欲しかったです
やっぱり連ドラは最終話まで観てからでないと鑑賞文が書けない創造物なんだと改めて認識しました
「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています
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