「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」は、尖りが集まり過ぎてむしろ触り心地の良い秀作でした
                                      2023年7月~9月期

尖りは一つ一つだと痛みですが、たくさん密に集まれば触り心地は良くなります

九条里奈を演じた松岡茉優は好きな俳優さんで、シビアな役を演じるということで楽しみにしていました
やはり松岡さんは肝の据わったしっかりと役柄を感じて演じられる方なんだと納得しました

九条里奈を始め、生徒もそれぞれの立場でそれぞれの闇を持っています

重く深い題材の作品には一点のオアシスである笑いや明るい設定的な観手にとっての息抜きが必要だと、常日頃から思っていました
しかしこの重く深い作品には表立ったオアシス的なはっきりとした場面、設定はありません それでも観手としてそこまで息詰まった閉塞感がないと感じていました

そのオアシスは、明らかな笑いや明るい場面や設定ではなく、一つ一つの事件や問題を完全な形で解決、共感させてくれるから、それが観手にとっては溜飲が下がる想いに繋がっていて、オアシス・息抜きになっているんだと気付きました

「重さ・深さ」と「解決・共感」を組み合わせるという要素から放たれる行動、台詞が、ある意味尖った針のようであり、その尖った針という要素が緩急・メリハリを使って作品に勢いをつけ、流れを生み出し、芯と輪郭をも創りだしていました

その放たれる針の数が多くなればなるほど、それが束ねられていって観手にとっては重く深いのに心地よい作品になったのでしょう

そして最終回まで見終わってこのドラマの少しの明るい、ほんわりしたオアシスは、松下洸平さんが演じた九条蓮と里奈の食卓の場面だったんですね 蓮を最後まで疑っていたのでオアシスに気付きませんでした…
そう考えると松下洸平さんはオアシスとしての里奈の良きパートナーとしての蓮を、等身大に良い絶妙な塩梅で演じられていました

里奈の人生二週目は、自分が変わることの波が生徒を変え、教師を変え、夫を変え、そして周囲が変わったことで里奈にもその波が戻ってきて新たに気づきを与えてくれて、それが副題の黒塗り部分を剥がしたことになるのでしょう

創り手の本気が伝わってくるドラマでした

「観手」:ドラマを創る・作成する人の「創り手」という言葉に対して、それを観る・鑑賞する人を差す言葉として使っています

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むろ さん
プロフィール

「ダンス」と「s**t kingz」と「iri」と「連ドラ」好きの「言葉の力」を信じる踊る博士(Dancing Phd.)のブログ集です

主に「連ドラ鑑賞文」を1クール(3ヶ月)毎に書いていきます
その他にも長文でTwitterに書ききれないことも書いていきます